「熟成肉」推しの男はヤレない!高級肉ブームがダサいわけ

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冷蔵庫で寝かせ、肉の旨味成分を濃縮させる「熟成肉」を使ったステーキ・肉料理店がブームです。

熟成肉はおいしい赤身肉の食べ方として、アメリカで発展しました。

アメリカやオーストラリアなど肉をそのまま食べるステーキ文化が広まっている国では、日本のラーメン屋のごとくステーキハウスがあちこちにあり、肉質や焼き方で勝負しています。

しかし裏をかえせば肉の質と焼き方にさえ注意をすればよく、料理の力のない店には好都合。

ヨーロッパのようにソースや料理の工夫、隠し味などにこだわらない肉ブームは、コックの力量を隠すだけでなく、ブームに乗ればいいと思っている客の、店やメニュー選びの浅はかさも露呈させてしまうのではないでしょうか。

熟成肉ブームの正体

アメリカのステーキブームがきっかけ

熟成肉作りの歴史はアメリカで10年以上前にはじまりました。

ヨーロッパのようにソースや調理の工夫にこだわるのではなく、塩胡椒など基本調味料のみで肉本来の旨みを味わうアメリカの肉文化。

肉を寝かせて熟成させることによって、繊維がしだいに分解されアミノ酸となり、旨みが増すのです。

アメリカの精肉店が発展させ、併設のステーキハウスで人気となったのがブームのきっかけと言われています。

肉を熟成させるにはいくつかの方法がありますいが、現在の「熟成肉」と呼ばれているものは「ドライエイジング」という手法が主流です。

ブロック肉を冷蔵庫に半月~一か月程度置き、温度を熟成に適した0~3度に設定。

腐らないように湿度を80%前後に保ち、肉の表面を乾燥させるため強い風を常にあてて作ります。

熟成肉が高価なのは製造に手間や時間がかかり、さらに黴の生えた表面をそぎ落とすことや、乾燥によって量が減ってしまうためなのです。

近年の「肉ブーム」の流れ

以前は「肉」といえば、コレステロールなど悪者のように言われていました。

それが今では各地で行われる「肉フェス」の定員オーバーなど、空前の肉・ステーキブームです。

このブームは2013年中盤~2014年初頭にはじまったと思われます。

2013年5月に「デンバープレミアム」一号店、12月には格安ステーキブームの「いきなり!ステーキ」の一号店が出店。

2014年2月にはアメリカのステーキ店大手「ウルフギャング・ステーキハウス」が上陸しました。

その後2015年までに次々とアメリカ大手「BLTステーキ」や、庄やグループの「RUMP CUP」など大手が進出、出店してきています。

関税引き下げによる「肉ブーム」の到来

次に、日本とアメリカ他外国との牛肉輸出入の様相を見てみましょう。

2013年2月に、アメリカ産牛肉の輸入規制が緩和。

牛の月齢規制が拡大し、味の乗ったアメリカ産牛肉が手に入りやすくなったり、Tボーンなど骨つき肉の輸入が認められるようになりました。

さらに2015年1月には日本とオーストラリアの経済連携協定(EPA)が発効。

オーストラリア産牛肉を輸入する際の関税が引き下げられ、仕入れ値が下落。

今後さらに引き下げられる模様です。

また以前から推進されている環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が実現すれば、輸入牛肉自体の価格がさらに下がるでしょう。

これを見て、「肉ブーム」が「健康」だけではない、何か大きな利益を得ようとする人たちのために作られたものではないか、と思うのは筆者だけでしょうか?

ヨーロッパ文化を軽視しアメリカに都合のよい流行

少し食から目を離して、近年のカルチャーのブームを見てみましょう。

20世紀末まで海外文化へのあこがれといえば、フランスやイタリアを中心としたヨーロッパシーンでした。

21世紀になると、ジーンズなどのアメカジからはじまり、スマホはiphone一強。

イオンなどの大型店舗の広まりは、アメリカの郊外型ファストモールの影響といえるでしょう。

ユニクロやGUなどのファストファッションもアメリカのGAPなどからの流れにあると言えます。

一方ヨーロッパでは90年代から、イタリアからはじまった「スローフード(伝統的な食文化を守り、質のよい食材を確保する)運動」が提唱され、あえて不便でも地元の食材を使い、こだわった料理を選ぶようになってきています。

熟成肉も「ファスト」ではありませんが、作り方と焼き方さえ気をつければ「こだわり」を演出できるという、作り手の顔が見えにくいものと言えるのではないでしょうか。

コックの腕は関係がない

 

■腕のないコックにとって熟成肉ブームは都合がよい

そもそも料理とは、お客様一人ひとりを見て好みに合わせ、季節や時刻も考慮した「オーダーメイド」が本流と言えるでしょう。

しかし一人ひとりに合わせて作ることは、腕のないコックにとって至難の業です。

そんなオーダーメイド的料理とは対照的に、ステーキ料理は肉質や焼き方だけに気をつければよいのです。

またソースや魚、スイーツなどのレベルも問われにくいのです。

なおかつ熟成肉ステーキなら高単価で熟成の手間や方法といった「こだわり」も演出できます。

それならば、料理の技術で勝負することに自信のないコックがこぞって熟成肉ブームに乗っかったのもうなづけます。

 

もともとはヨーロッパの文化だった「熟成」

熟成肉を使ったステーキ料理店はアメリカから増えていきました。

しかし熟成肉の起源はヨーロッパで、冷蔵技術がまだなかった時代に、温度の低い地下倉庫や岩山などの洞窟に吊るして保存したものが始まりと言われています。

そして何より「熟成」の本場はヨーロッパであるといえます。

何年も樽で寝かせるワインや、何日も熟成させるチーズなど、芳醇に熟成させた旨みの強い食品は有名ですよね。

また肉に塩などの調味料をすりこみ、乾燥させて旨みを凝縮させたものといえば、イタリアンでもお馴染み「生ハム」があります。

このように熟成とはもともとヨーロッパで広く親しまれていた加工方法。

今さら熟成肉をさも新しいもののように珍しがるのは、古くからあるものを忘れ、表面上の流行にとびつく軽薄さを狙った女にも与えてしまうのではないでしょうか?

アメリカに都合のよいブームに踊らされる男ってどうよ?

現在、国内の食のブームは「アメリカ」に完全にシフトしたと見られています。

「アメリカ」風が悪いと言っているわけではありません。

アメリカ風料理には、さまざまな国からの移民たちがもたらした多様なエスニック料理という側面もあります。

しかし、日本の文化や他の料理をおろそかにし、アメリカの流行やその時の流行に乗って、肉なら肉だけ…と一つのものに過剰に踊らされるのはいかがなものでしょうか。

ただ焼けばいい熟成肉ブームばかりをありがたがるなど、自分たちの長く豊かな伝統を持ち、さまざまな女に対しても懐の深いイタリア男ならやらないでしょう。

「高級肉ブーム」「熟成肉ブーム」をきっかけにして、逆に多様な食材、ソース、料理法にこだわりチャレンジし続けているヨーロッパ料理、イタリア料理にも目を向けなおす、そんな「熟成」された男こそが狙った女とヤレると言えます。

まとめ

「熟成肉ブーム」の親というべき「肉ブーム」。

それがそもそも、TPP成立を見込んだことや、関税の引き下げの影響によって作られてきた部分が大きいことがおわかりになられたと思います。

政府や外国主導のブームに乗った、尻軽男に女はなびくでしょうか?

また、そんなブームに「料理の腕の無さを隠すため」あえて乗ったコックたちにより作られたのが熟成肉料理です。

イタリア男なら、料理においても肉食ばかりではない多様性を重視したヨーロッパ料理、やはりイタリア料理をチョイスしてみてはいかがでしょうか。